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くどのわふぶろぐ

くどのわふぶろぐ

クロネの日記

クロネの書類ケースからドロップする切れ端をまとめた物です。


破れた日記の切れ端1

教会にいた頃のアタシに会った事がある人は、指輪の細工師としてお店やってるアタシを見ると、本当にビックリしちゃうみたいねぇ。
堂々としたビショップだったのに、どうして!?なんて言われちゃったりして。フフ。
確かに、聖徒スミルちゃんとかと一緒に、最高権威の神聖都市アウグスタでビショップやってれば
恋愛とかお酒とか我慢するだけで、食べるにも困らないし、本当に言う事なしの人生じゃない?
本当のアタシを知らなければ、不思議に思ってもしょうがないわよね~。



破れた日記の切れ端2

はあ・・・。この話になると、いつも適当にごまかすんだけど・・・。
なぜって、アタシが指輪細工師になった理由を聞いたら、きっとみんな軽蔑するもの!
こう書くと勘違いされそうね。
別に、こういう私の生き方に関して、秘密にしたいからってわけじゃないんだから!
筋肉あったって、心は乙女で何が悪いのよ!そうじゃなくって、愛しい'あの人'のため。
まあ、どうせアタシなんか、ヒマワリみたいなもんよ。
常に首を回して輝く太陽探しちゃってさ。
きっと太陽もアタシの事を見てるのよ!なんて妄想してみたりして・・・。
分かってるわよ。太陽はみんなのもの。別にアタシを見てるんじゃないって。



破れた日記の切れ端3

いつだったかしら・・・。確か柔らかな日差し溢れる春の午後。
その日も静かな葡萄畑を横目に、アウグスタ大聖堂に向かってたの。
でも、その日はいつもと違って、昼間っから暑苦しく愛を語り合う恋人たちがいるわけ。
別に良い男じゃないし、愛だの恋だと言ってる暇もないし、キャアキャアうるさい小娘くらいにしか思わなかったんだけど。
そんなアタシを呼び止める美声がして、うっとりする声に思わずニヤけたわ。
最高のスマイルで振り返ったら、30年生きて初めて電気が走るほど
理想通りの王子様が立ってたのよ!



破れた日記の切れ端4

程よく低い中低音の甘いボイス。少し線が強いけど、鋭い感じの顎。
高い鼻の下のちょっとだけある口ひげ。
細く切れ長の目・・・。本当に魅力的なヒト!
方耳にしてる青い宝石のピアスがまたカッコイイのなんの!
薄い袖なしの上着から垣間見える鍛えてる筋肉もサイコーよっ!
まるで役者みたい!どこまでも、アタシ好みじゃない!



破れた日記の切れ端5

そう。あの人は、アウグスタ大聖堂を訪れた、冒険家さま。
名前は、何だったかしら?ディップ?うん、確かディップだったわね。
なんとかって辺りでは、最高の剣士として知られてるって言ってたけど
そんな事関係ないわよ。
ディップは、1週間に1回必ず聖堂に来たわ。真面目なグリーク教の信者なら、当然な事だけど
もしかしてアタシに会いに来てくれてるんじゃないか・・・なんて
イケナイ妄想しちゃったりして。
剣術で鍛えられた男らしい腕で急に抱きしめられたらどうしよう!とか
がっしりした広い背中に寄りかかって居眠りできたら!とか。
アタシったら聖職者失格ね。ウフフ。



破れた日記の切れ端6

でも、アタシは臆病者よ。自分でもイヤになるわ。
ずっとウジウジしてるから、アタシをビショップの道に率いてくれたジョセフ様も相当困ってたみたいねぇ。
そんなんだから、出会って半年たっても一方通行の片思い。
ディップが、若くてキレイ系の女の子を連れてるの見た時は悔しかったけど・・・。
彼の隣にいられないのは自分に勇気が無いせいって、ちゃんと分かってたから見守るしかなかったわねぇ。



破れた日記の切れ端7

でもでも!ある日、急にディップが、アタシに声をかけてきたのよ!
まさか、アタシの熱いラヴラヴ光線に気付かれちゃったかしら!?
思いがけない出来事に激しく動揺して、喉はカラカラだし、唇もカサカサだし!
そんなアタシを見て、ディップったら少し顔を赤くして・・・ああ、もうビックリした回れ右しちゃったわよ!!
でも、今考えると若かったわね、アタシ。
きっと、もっと雰囲気が良ければ、ディップはアタシに魔法のキッスをしたに違いないんだから。
なんちゃってー。やーだーもうー!握り締めた筆が折れそうよ!



破れた日記の切れ端8

あらやだ。アタシが、どうして細工師としてお店を始めたのが書こうと思ったのに、またやっちゃったわ。
まあ、よく考えたら自分の日記だしいいけど。
とにかく、愛しの王子様ディップのためよ。
ディップは、本当に強い剣士なのに、いつも自分には何かが足りないって考えてた。
だから、もっと強くなる方法を探してたの。
それで、ディップのために最高の指輪を作る事にしたってわけ。
彼がもっと強くなれるよう、アタシなりに努力してみるつもりよ。
彼の願いを叶えてあげるなんて、凄いナイスアイディアでしょ!
もっとアタシがビショップのスキルを習得してたら、一緒について行くのが一番だけど。



破れた日記の切れ端9

でもねぇ。最近ちょっと面倒くさいのよね。
アタシが強くて良質な指輪を作るっていう噂が広まっちゃって
貧欲な冒険家が作れ作れってうるさいったらない。
まっ、それも悪い事じゃないけど。
群がる冒険家相手に、色々実験しちゃえばいいんだもの。
アタシ、きっと最高の指輪を作れるわよー!
そして、完成した指輪をディップの薬指にはめてあげるの。
キャー、書いちゃった!
アタシの愛するディップ。
最強最高の指輪をもらったら、ディップはアタシに感謝のキスしてくれるかしら?


完(・∀・)


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